旅の最後の宿は、ガラタ塔を目の前に、こじんまりとした瀟洒なプチホテル、アネモネガラタであった。ガラタ塔は、14世紀当事ジェノバ人居住区だったこの町の防衛のために造られた9階建ての丸い塔である。
ホテルのトップに設けられたメイン・ダイニングの天井が透きガラスで、目の前のガラタ塔が夜景の中に望める仕組みであった。 心憎いばかりの演出効果満天のホテルである。月明かりの中にライトアップされ浮かび上がって見えるガラタ塔の眺めは最高だった。 その夜は旅の最後の晩餐にふさわしく、そのダイニングでリッチな気分で美味な食事を味わわせていただいた。
イスタンブールは見所が多く、町の雰囲気をゆっくり味わいたい所だったが、残念ながら旅程のスケジュールが許さなかった。短い1日半のイスタンブールでの見学を終えて、私たちは帰国の途へ着いた。
「パウロの足跡を訪ねる」11日間の旅を振り返って、改めて「聖書の真実」を肌で感じることが出来た旅であった。小アジヤを振り出しにヨーロッパ(当時のマケドニヤ)まで、一途に伝道の使命に燃やされたパウロが廻り歩いた地域の一つ一つに一段と親しみが湧き、聖書が一層身近なものになった。 同時にパウロの確固たる信仰と情熱にあらためて圧倒される思いである。「しかし、わたしは自分の行程を走り終え、主イエスから賜った、神の恵みの福音をあかしする任務を果たし得さえしたら、この命は自分にとって少しも惜しいとは思わない。」(使徒20:24) このように言い切ることの出来たパウロに“信仰の真髄”を見ることが出来る。 ますますみことばに堅く立つ主への信仰をパウロから促された、かけがえのない旅であった。 感謝!
2005年5月末日 |