翌日、晴れ渡ったコバルトブルーの抜けるような空のアテネの朝を迎えた。最初に訪れたのは、アクロポリスの北西の麓にある、名所、元評議所のあった「アレオパゴスの丘」(Arios Pagos)であった。眼下に町を見渡せる小高い岩山のアレオパゴスの丘からは、木立の中にヘファイストスの神殿(Temple of Hephaestus)、赤い屋根のアッタロスのストア(Stoa of Attalus)古代アゴラ(Ancient Agora)など、そして右上には威容を誇るパルテノン神殿が鎮座するアクロポリスの丘(Acropolis)などが望め、これらの遺跡群を前にアテネの黄金期、遠い昔の古代歴史に思いを馳せた。
パウロは、パルテノン神殿が望める、この岩山の真ん中に立ち、大勢のアテネ市民の群集を前に毅然と「真の神」について熱く説いたのであろうと想像する。「この世界と、その中にある万物とを造った神は、天地の主であるのだから、手で造った宮などにはお住みにならない。」(使徒7:24)