トルコに入って、翌日、最初の訪問地は、ホメロスの叙事詩「イリアス」で有名なトロイ遺跡であった。そこからトロアスの港跡に向かった。途中アーモンドの花が満開で、色も淡いピンクで桜に似ており、一足早い春爛漫の花見を車窓から味わわせていただいた。羊の放牧も見られ牧歌的な風景だ。ギリシャに比して北東に位置するこの地は緑が多く心和む。
トロアスは、パウロが聖霊によってアジア伝道を禁じられ、方向転換して陸路フルギヤ・ガラテヤ地方を通って到着した港でもある。この港で夜パウロは、ヨーロッパ伝道の使命の幻を見たのである。感慨深い場所だ。パウロは幻を見た後、直ちにマケドニヤ(ピリピ)に出帆している。(使徒16:9〜11)どこまでも聖霊の導きに従順なパウロの信仰と行動の速やかさに驚かされる。
パウロが航海したであろうトルコ側から見たエーゲ海もあくまで碧く、穏やかで “美しい”の一言に尽きる。このトロアスでパウロたち一行が仲間とパンを割いたことを思い起こしながら、わたしたちも当時の港とされている浜の岩石にそれぞれ腰を下ろし「賛美と礼拝」のときを持った。ここでも飯島先生がみことばを開いて下さった。(使徒16章、20章) 一同で奏でる賛美は、目の前に広がる静寂なエーゲ海に響き渡り、御霊に満たされ、心一つにされた至極の野外礼拝だった。主の恵みと祝福に、私たち一同は感動し心から感謝した。パウロの心情が共に分かち合えたようなすばらしいひと時であった。

その後、ベルガモの大遺跡群を見学、一時代を築いた華やかなベルガモン王朝の繁栄の跡をたっぷり堪能した後、夕暮れ時に私たちを乗せたバスは、イズミール(スミルナ)の町に入った。長旅のバスの中では、藤原先生が聖書クイズなどをして下さり楽しいひと時を過ごした。全問解答で、流石にOBIの学院生は優等生だった。
山の斜面に発展したイズミールの町の家々に夕刻の明かりが灯る光景は、遠目にまるで宝石の小箱のようにきらきらと輝き息を呑むほど美しく、車窓からの私たちの目を楽しませてくれた。今でもイズミールの美しい夜景が鮮明に目に焼きついている。 |